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キアゲハ通信No.097-「小衆社会」

2016.07.06 更新

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「小衆社会」

院長 西田 善彦

 皆様,小衆社会ってご存じですか?私もつい最近まで耳にしたことがなかったのですが,サンデーモーニングというテレビで取り上げられて初めて知りました.この言葉は従来からの一般的に言われている大衆社会(すなわち特定の人々の集団でなく不特定多数の様々な人たちからなる集団が様々な分野で自由に活動している社会)に対して作られた言葉だそうです.

 小衆社会とは,例えばソーシャルネットワーキングサービス(SNS)のようなインターネットの世界で自分と同じ考え方や価値観を持っている気の合う仲間だけの交流で構成された社会のことを言うそうです.この小衆社会では自分にとって好都合な意見や情報を選択的に得られるので,日常社会に比べて居心地が良く癒やされる場となるのですが,一方では自分にとって心地よい情報や意見にしか向き合わなくなると,世の中一般からはどんどん隔絶してしまい,同じ価値観を持つもの同士の間でどんどんと極端な意見ばかりとなり,排他的になってゆく恐れがあります.そしてそのような偏った意見がさら過激化して,他の小衆社会の集団を打ち負かしたり魅了して巨大化すれば,世の中の脅威となるのではと番組では警鐘を鳴らしていました.

 さて振り返って私たちの日常生活に目を向けてみますと,確かに以前と比べてつきあいの幅は狭まっているように思います.例えば慰安旅行などは皆で一緒に団体旅行というよりは,気の置けない人だけでの小旅行という雰囲気になってきております.それが悪いというわけではないのですが,組織を維持するためには時には皆で共通の体験を通して共感し合うようなことも必要と思われます.たとえ意見が違っていて普段はあまりつきあいのないような人であっても機会を持ってコミュニケーションを図ることが,お互いを知り分かり合えることとなり,相手を無視するような偏った意見にはならず,ひいては目標に向かって協力しあえる環境を作れるのではないでしょうか.

(院内広報誌「なんきんまめ No.124(2016.5.15)」に掲載)
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