キアゲハ通信No.076-「実力差」
2015.03.30 更新
「実力差」
院長 西田 善彦
私はスポーツ観戦が大好きでこのコラムでもよく取り上げています。10月は野球にサッカーにと大いに盛り上がりましたが、特に最近強いと注目されている日本男子代表のサッカーは、欧州遠征で強豪2カ国と試合をして印象的でした。
初戦のフランス戦は試合開始から圧倒的に攻め込まれ続け、どうなることかと心配し通しだったのに、後半のわずか1チャンスに得点して奇跡的な勝利を納めました。それで日本中は沸き上がりましたが、選手は勝っても勝ち方が悪いと不満顔でした。次の試合は世界最強と目されるブラジル戦でした。こちらの方も初戦の勝利もあり試合前は大いに期待され、実際、フランス戦とは打って変わって日本は見違えるようにパスを回してボールを支配していました。しかしいくら相手側に攻め込んでも得点にはいたらず、逆にブラジルにはチャンスを確実にものにされ、終わってみると0対4と完敗でした。日本の選手たちは、歴然とした実力差を認めた上で、負けても自分たちのサッカーが出来たと喜び、納得して満足した様子でした。
以上の2試合を通しての私の考えをお話しします。まず最初の試合のフランス戦で勝ちはしましたが、試合の内容に不満を表したことについては、日本も成長したなと感心しましたし、この分ならもっと成長が期待できると思います。しかしその次の試合の感想には異論があります。ひょっとしてブラジルは、わざと日本にボールを持たせたのではないでしょうか?ここまでなら支配されても大丈夫と見切られて、そのスキをついて得点し弄ばれたような気がします。そうだとすれば、我々が思っているよりもずっと実力差があるのかもしれません。
何事に対してもまじめに全力で取り組むのは、日本人の美徳です。でも世の中には自分たちと同じ考えや態度人ばかりではないことを意識しないと自分たちの実力や立場を見誤り、足下をすくわれるのではないかと今回のブラジル戦を見ていて思いました。
(院内広報誌「なんきんまめ No.103(2012.11.15)」に掲載)
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