キアゲハ通信No.055-「プレッシャー」
2014.11.05 更新
「プレッシャー」
院長 西田 善彦
プレッシャー(圧力)といえば、精神的な重圧のことでありクイズ番組やスポーツの試合などでよく言われる言葉です。あのイチロー選手がWBC野球で世界一になって流石だと思わせた後に、プレッシャーから胃潰瘍による貧血になり、大リーグの試合を欠場したのには驚きました。これまで数々の記録を塗り替えてきて、さらにはドラマでも堂々と演技をしてみせるなど、プレッシャーを楽しんでいるようにさえ思えていただけに意外でした。
一方,「あがり性」という言葉もあります。これも人前でどぎまぎして失敗をしてしまう人に用いられる言葉です。この2つはよく似ている様で少し違うように私は思います。すなわち「プレッシャー」の場合、失敗することにより損失を被ることが考えられ、それが許されない場合に過度の緊張がかかってしまう状態だと考えられます。それに対して「あがり性」は、それ以外に例えば人前で自分をよく見せようという自己顕示欲の為に不必要に緊張する状態も含まれているように思います。自己顕示欲は、前向きな姿勢の現れと受取ることが出来、これを上手に利用することで(勿論努力は必要ですが)プラスに変えることが出来ると思います。
私は実はかなりのあがり性であり、学生時代の口頭試問などはことごとく不合格になっていました。それが今では大きな顔をして講演などしておりますが、それが出来るようになったのは、1つは4年間の四国放送ラジオでの収録による訓練(慣れ)ともう1つは自分をよく見せるように話をするのではなく聞いてくれる人の立場に立っていかにわかりやすくしゃべるかというふうに発想を転換したためでした。この発想の転換で気持ちが楽になりました。外からの重圧を伴うプレッシャーに打ち勝つことは大変困難なことですが、「あがり性」は訓練(努力)と自分の気持ちを発想の転換によって変えることで,何とか克服することができると思います。
(院内広報誌「なんきんまめ No.82(2009.5.15)」に掲載)
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