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キアゲハ通信No.052-「お酒について(前編)」

2014.10.15 更新

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「お酒について(前編)」

院長 西田 善彦

 酒は百薬の長と言われており,私にとってストレス発散の第一選択薬であります.そこでたくさんのエピソードや思いがありますので,今回から2回にわたってお話しいたします.

 まずは私がまだ医学部の学生の時の話です.コンパでどれだけ飲めるか試してみようと無謀なことをした私は,案の定,自宅で倒れてしまいました.その時,当時,中徳島町でご開業されていた第一内科の先輩の故・豊田烈先生が往診に来て下さいました.そして動悸で苦しんでいる私に「まだまだ修行が足りない」と言って帰られました.私はその時のご恩と言葉に感動して第一内科に入局し,入局後も先生の教えを守りました.それは医局長の職務を遂行するために随分と役立ちました.先生は私の医局長在職中の平成5年にお亡くなりましたが,今も感謝しております.

 次もまた学生の時の話です.ギフチョウという蝶を採集させてもらうために当時ニッカウイスキー西宮工場の工場長であられた故・宇野正紘氏のお宅に図々しくもお邪魔いたしました.そして採集に出かける前夜,氏から「ウイスキーには夏のビールや冬の熱燗のような爽快感はないけれど,逆にそのため何杯飲んでも変わらずおいしい」といわれて,氏の秘蔵のウイスキーを振る舞われました.今から思えば,まったく見ず知らずの方の家に泊めてもらってごちそうになるというボトル1本飲み干しても足りないくらい赤面するほどのご迷惑をおかけしてしまいました.その後,私は研修医を済ませて20年以上の間,蝶の採集から遠ざかり,宇野氏のこともすっかり忘れていました.そして次に氏のことを知ったのは,氏が栄転に栄転を重ねられニッカの社長にまでなられたこと,そして平成17年5月に64歳という若さでお亡くなりになったということでした.折角,医師になったというのに何のお礼も出来なかったことが,悔やまれてなりません.(以下,次号に続く)

(院内広報誌「なんきんまめ No.79(2008.11.23)」に掲載)
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