キアゲハ通信No.044-「吉本新喜劇」
2014.08.18 更新
「吉本新喜劇」
院長 西田 善彦
先日(6月10日),神経難病の1つである筋萎縮性側索硬化症(ALS)の徳島支部の総会に参加いたしました.その時の講演会の講師は,吉本興業の看板女優,楠本見江子さんでした.この看板女優の「看板」は,体当たり演技でよく投げ飛ばされては看板に顔をぶつけられていたからだそうです.楠本さんは,私が大学に入学した頃に超売れっ子であり,週に5本もレギュラーを持っておられ,今の女優で言えば山田花子さんのような役回りをされていました.
とにかくそんな有名な方の話をじかに聞くことが出来,とても懐かしく,また楽しかったのですが,その中で裏話として興味深いことをお聞きしました.それは,吉本新喜劇の台本についてです.当時の台本では,[爺さん(間寛平さん)出てきて杖を振って暴れる.隣のオヤジ(池野めだかさん)がネコのまねをして立ち向かう.爺さんは猿になって応戦]と,たったこれだけしか書いて無くてそれでも5分でも10分でも劇を演じることが出来たのだそうです.こんなことが出来たのは,劇団の中に3つのチームがり,そのチームを何年も変えずに続けることによって正しくあうんの呼吸が出来るまでにお互いを知り合っているからなのだそうです.そしてこのやり方は,それぞれの俳優さんが代わっていっても現在までずっと受け継がれているのだそうです.
私はこの話を聞いて,これは医療と介護の場でも同じことがいえると思いました.すなわち入院の場合,病棟ごとの単位でチーム医療をしていますが,各自がそれぞれの役割分担を果たすとともにチーム内のカバーをマニュアルなど無くともやれるようになりたいものです.また在宅の場合,訪問を通じて当事者の方々との個人的なつながりがより密接になり,言われなくとも痒いところに手が届くようになれれば最高です.そしてそれらを実現できるようにするためには,「継続とは力なり」と「相手を思いやる気持ち」が大切でないかと思いました.
(院内広報誌「なんきんまめ No.71(2007.7.7)」に掲載)
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