キアゲハ通信No.034-「郵政民営化解散選挙」
2014.06.16 更新
「郵政民営化解散選挙」
院長 西田 善彦
本当は政治的なことはなるべくここには書くまいと決めてこの連載を続けてきましたが,今回の選挙は余りにおかしいと思い筆を執りました.
そもそも衆議院の解散総選挙は内閣総理大臣の伝家の宝刀ですから,これを使うのは,選挙に勝つ見込みがあると判断される場合であり,与党には有利に働くのが当然なのですが,今回の結果は余りにひどすぎます.過半数どころか2/3の絶対的安定ラインまで越えてしまうとは・・・絶句です.確かに分かりやすい選挙ではあったのですが,郵政民営化の是非以外にも大切なことがたくさんあったのにそのことにまったく言及しないまま選挙後に数の力で一気呵成に法案が通るのではたまりません.これで郵政民営化の陰に隠れて既に潜行して進んでいる身体障害者のための支援費制度や神経難病に対する公費負担の制度も縮小され,多大な負担が強いられることになると思います.パーキンソン病とその類縁疾患の病状の違いも分からない人達がその重症度を同等に考えて制度を変えようとするなど言語道断,弱者いじめも甚だしいと思います.また小さな政府へと向かうため地方への権限委譲を行うといわれていますが,人口もそして税収も少ない我が徳島県はどうなるのでしょうか?今回の都会の力で圧勝するような選挙ではますます過疎県は消えてゆくのみでこのままでは四国は1つというより関西の属郡になるような気がします.
今回の選挙で私なりの教訓です.常々私は「わかりやすく,簡単に」をモットーとして話をしたり文を書いたりしようとして参りましたが,より簡潔にすることは,それだけ情報を取捨選択することにつながり,ひいては自分では気付かないうちに情報のコントロールを作為的に行っているかもしれません.今は患者さんに選択権がある時代です.正しい知識を持っていただかないと正しい選択は出来ないことを絶えず意識して,ファシズムにならないようにしたいと思います.
(院内広報誌「なんきんまめ No.61(2005.11.5)」に掲載)
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