キアゲハ通信No.139-「第5類感染症」
2023.07.18 更新
「第5類感染症」
院長 西田 善彦
第2類感染症に分類されていた新型コロナ感染症(COVID-19)が2023年5月8日よりインフルエンザと同等の第5類感染症に代わりました.感染症の分類には1類から5類までがあり,1類はエボラ出血熱,ペストなど感染力が強く重篤性が極めて高い疾患,2類は結核,鳥インフルエンザなどの感染力や毒性が強く危険な感染症,3類はコレラや腸チフスなど伝染力の強い疾患,4類は動物や飲食物を介して感染してゆく疾患で日本脳炎やA型肝炎などがあります.そして5類は感染に際して発生動向調査を行って流行の注意喚起を促していく疾患でインフルエンザが代表であります.
COVID-19が2類から5類へと移行していく背景には,COVID-19ウイルス自体が当初よりも弱毒化してきている可能性(ウイルスも自身が生き延びるためには感染力が強いこととホストを殺してしまうほどの毒性は避ける必要がある)やワクチン接種や自然感染などにより国民全体の抗体獲得率が恐らく4割を超え,今後は爆発的な感染による医療情勢のひっ迫は起こらないのではないかと医学的に予想されるためだと思います.そのほか経済的な問題なども考慮すると今回の5類への引き下げはやむを得ないのかもしれません.また過去にはスペイン風邪やアジア風邪といったパンデミックな感染も約3年で収束にしたという歴史もあります.
しかしCOVID-19は果たしてインフルエンザと同等なのでしょうか?2022年4月からの1年間で私のパーキンソン病関連の患者さんのうち22名の方がCOVID-19に罹患されました.そしてそのうちの7名の方が法定の隔離期間がすぎてもかえって症状が悪化し,胃瘻造設や持続点滴を余儀なくされるようになりました.将来,公費負担が無くなれば検査やワクチン接種を手控える危険性が出てくることが予想されますが,ご自身やご家族を守るためにも慎重な対応が必要かと考えています.
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