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キアゲハ通信No.135-「塞翁が馬」

2022.09.24 更新

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「塞翁が馬」

院長 西田 善彦

 人間万事塞翁が馬.皆様よくご存じの格言かと思います.この言葉を自分のグローブに書いている若手の野球選手がいます.その選手は私の応援している中日ドラゴンズの根尾 昂(あきら)選手です.根尾選手に関しては以前に応援のメッセージをこのコラムで書いたことがあります.

 まずは根尾選手の記した「塞翁が馬」に関して,簡単に解説します.昔,中国に塞という老人(塞翁)がいてその人の馬が逃げたことからこの故事は始まります.周りの者は塞翁を気の毒に思いましたが,当人は「幸運の触れ」と言います.そしてその後,その逃げた馬は立派な馬を連れて帰ってきます.周りの者は幸運が訪れたと喜びますが,塞翁は「今度は不幸の兆し」だというのです.そしてその通り,塞翁の息子がその馬から落ちて足の骨を折ってしまうのです.周りはまた同情するのですが,その息子はその怪我のおかげで戦争に行かずに済んだので最終的には運が良かったというお話です.

 根尾選手は,大阪桐蔭の出身で中心選手として甲子園で春連覇・春夏連覇に貢献し,2018年10月のプロ野球ドラフトにおいて1位で指名され,意中のドラゴンズに見事入団されました.野球ではもちろんピッチャーかつ主軸打者であり,学業や立ち振る舞いも超優秀(監督からも尊敬され根尾さんと「さん」付けで呼ばれていた)で日本中の野球ファンから期待され続けてきました.しかし何でも出来ることが災いしてか,内野手,外野手そして今年の途中からは投手として起用されるようになりました.そして現時点では,後輩に先を越されていまだレギュラーとして定着というところまでは伸びていません.その彼のグローブには,塞翁が馬と書かれてあり,周囲の何倍も努力している彼の心境を思うとこれまで以上に応援したくなりました.

 私たちの日常にも塞翁が馬的なことは何度も起こると思います.一喜一憂することなく将来を見据えて絶えず前向きに努力してゆきたいものです.

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