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キアゲハ通信No.133-「監督」

2022.05.18 更新

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「監督」

院長 西田 善彦

 ロシアによるウクライナ侵攻という暗い話の中,飛び切りの明るいビッグニュースが飛び込んできました.それはプロ野球千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手の空前の快投です.彼は大リーグで昨年MVPを獲った大谷選手と同じ岩手県出身で2001年11月生まれの20歳,プロ入り3年目の選手です.その彼が話題になったのは今回で2回目です.初回は彼が高校3年生の時に高校生最速の163kmを出して夏の甲子園大会の岩手県予選で決勝まで進んだのに最後に投げずにチームが負けたことが話題になりました.当時の監督は佐々木選手の将来を考えての苦渋の決断だったそうですが,このため周囲から叩かれて高校の監督も辞められております.

 そして2回目が今回の史上最年少の完全試合達成です.86年間におよぶ日本プロ野球史上でも,完全試合の達成はわずか15試合でしかも最後に達成されてから28年ぶりといいますから驚異的です.さらにその内容が打者27人に対して13人連続を含む19人から三振を奪っており,本当に異次元の記録です.今回は世界中で話題となりました.そして話はそれだけに終わらず,佐々木投手はその次の試合でも8回まで完全試合を続けたのです.ところが佐々木投手の未来を考えてけがをさせないように監督から交代を告げられ9回は投げずに2試合連続完全試合という夢の記録は無傷のまま途切れました.今回もまた賛否両論の声が飛び交いました.

 高校野球の監督は教師であり選手はその教え子ですので,将来を考えて投げさせなかったのは当然だったと私は思います.対してプロ野球の監督はファンにサービスをすることも要求されますので,本当は続投させて欲しかったです.しかしその気持ちとは裏腹に今後の想像を超えるような彼の未来にも夢が膨らみます.監督の仕事にはチームを勝たせるという至上命題に加えて人を育てるという大事な役割もあることに改めて気づかせてくれました.

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