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キアゲハ通信No.129-「東京オリンピック/パラリンピック2020」

2021.09.10 更新

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「東京オリンピック/パラリンピック2020」

院長 西田 善彦

 東京オリンピック/パラリンピックが賛否両論の渦の中,1年遅れで開催されました.いざ始まってみますと日本人選手の予想以上の大活躍による感動でコロナ戦争による先の見えないうつうつとした閉塞感も吹き飛んで,元気づけられた方も少なからずおられることと思います.

 さて今回は,オリンピックもさることながらこれまで少しなじみの薄かったパラリンピックについてお話ししたいと思います.パラリンピックという言葉は,そもそも両下肢の麻痺を意味するパラプレジア(対麻痺)とオリンピックを掛け合わせた造語であり,1964年の東京大会の際に初めて用いられました.しかしその後,肢体不自由以外の選手も多数参加していることからパラレル(もう一つの)という意味でのパラリンピックといわれるようになりました.今回は8月24日から9月5日までの間に22競技計539種目に約170の国々から約4400人のパラアスリートが参加されて行われました.この競技種目の多さは,できるだけ平等に競技できるよう障害の度合いを細かく分類していることによります.例えば水泳では肢体不自由を最も程度の重い1から軽い10までの10段階,視覚障害も3段階,そのほか知的障害や聴覚障害などもあわせ全部で16に区分しているため実に146の競技に分かれております.

 今回,私が最も感動したのは100m背泳で銀メダルに輝いた山田美幸選手(14歳女性)の言葉です.彼女は生まれつき両腕がなく,さらに片足にも障害があるというのにキック力だけで泳ぎ切り,レース後には「水泳のときは他の子と同じように泳げる」と話されました.彼女は,パラリンピックの父といわれるルートヴィッヒ・グットマン博士の「失ったものを嘆くのではなく,何ができるかを考えて前に進む」という言葉を体現しているように思います.私たちも身の不幸を愚痴ることなく元気を出して前向きに生きてゆかねばと勇気づけられました.

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