キアゲハ通信No.104-「新幹線」
2017.07.19 更新
「新幹線」
院長 西田 善彦
久しぶりに新幹線に乗って博多に行ってきました.私は1985年から86年にかけて1年余り九州大学医学部神経内科でお世話になりました.この時は,まだ瀬戸大橋は架かっておらず,徳島から博多まで行くには,デッキで食べたうどんが昔懐かしい宇高連絡船に乗って約6時間の長旅でした.
新幹線は「光は西へ」の合言葉のもと,山陽新幹線が1972年3月に岡山駅まで開通したのを皮切りに1975年3月には博多駅まで伸長し,さらには2011年3月よりは九州新幹線も開業しております.またこの間,1988年4月の瀬戸大橋の開通を受けて宇高連絡船が廃止されました.このおかげで徳島から岡山までは特急も運行されるようになり,博多まで最短で4時間少々で行けるようになりました.
さて私は1985年から86年にかけて博多で過ごしたわけですが,この1年余りは極めて実りの多い年でありました.私はそれまで徳島大学病院および松山赤十字病院で内科一般の臨床研修を積んでおりましたが,現在の専門である神経内科については,九州大学医学部の学生とほとんど同レベルの知識しか持ち合わせておらず,特に最初の3か月は何も知らないことや分からないことの連続でした.それでとにかく必死で頑張り多くの先生方の力を借りて最後は専門医試験に合格することができました.そしてこの1年間で学んだ神経内科の知識は,現在も私の神経内科医としての礎となっております.いわば新幹線のレールのようなものです.
その後,私は徳島大学に戻り,さらに診療や学生教育を通じてより多くの臨床経験を積み知識も増やして高徳本線に当たるレールを敷設しました.その後,伊月病院に移ってからも患者会をはじめ数多く患者さんからより実践的な知識を学び,いわば牟岐・鳴門・池田に向かってローカル線を現在も伸長中です.これからも「患者さんが先生」という言葉を忘れず謙虚でありたいと思います.
(院内広報誌「なんきんまめ No.131(2017.7.15)」に掲載)
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