キアゲハ通信No.102-「育成選手」
2017.03.15 更新
「育成選手」
院長 西田 善彦
前回,人が集まる病院というテーマでお話ししましたが,実は,私の応援している中日ドラゴンズはここ最近低迷が続いており,昨年はなんと19年ぶりにセリーグで最下位に沈みました.これは世代交代期の補強の失敗によると言われています.
そもそも補強の仕方には,FA(フリーエージェント)やトレードというプロ選手の中から実績のある選手を獲得する方法とドラフトにより新人選手を獲得して育成していく方法があります.ところがドラゴンズはごたごたがもとで2016年にはプロ志望の選手から中日以外の11球団を希望とまで言われるようになったのです.この理由にはもちろん首脳陣の内紛が挙げられますが,私はほかにも最近のドラフト上位の選手たちが活躍できていないことが挙げられると思います.すなわちドラフトはその年の即戦力あるいは将来性の高い選手から順に選ばれていくのですが,ルーキーで即レギュラーになれるほどプロは甘くありません.何しろ1年間で140試合以上も戦わなくてはならず技術もさることながら体力や精神力は入団してから鍛えられて身についてゆくものだと思います.そのため入団してから数年以内に活躍できればよいと思うのですが,近年のドラゴンズではドラフト上位選手でレギュラーになっている選手が,他の球団よりもかなり少ないのです.そして日ハムやソフトバンクといった強い球団はドラフト下位の選手も計画的に育成されて大活躍しています.すなわち今のドラゴンズは育成する力が弱いと言わざるを得ません.
日本人で最高の選手の1人とされるイチロー選手は,高校卒業後にドラフト4位と下位でプロ入りしました.それでも良き理解者や指導者に恵まれ,ご存じのように3年目から大活躍しております.入団(病院でいえば入職)してからの鍛錬(教育や研修)などにより,より立派な選手(医療人)として育ててゆくことが球団(病院)の使命であり,人を集める力であると感じております.
(院内広報誌「なんきんまめ No.129(2017.3.15)」に掲載)
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