おしらせ
Announcement

キアゲハ通信No.024-「3ない」

2017.04.19 更新

t_kiageha1

 

「3ない」

院長 西田 善彦

 「3ない」とは以前に書きましたように「判らない、治らない、儲からない」といって神経内科を揶揄した言葉です。私が九州大学神経内科で研修していた時に、学生が神経内科のことをこういうと聞かされました。実際、当時は神経内科の講座は今と違ってまだ少なく、東京大学を始め、信州大学、広島大学、鹿児島大学と数多くの第3内科が神経内科を担当しておりました。神経内科は学生から毛嫌いされていると私はずっと信じておりましたが、去る1月25日に行われた第3回徳島神経難病セミナーにおいて元鹿児島大学学長で現名古屋学芸大学学長の井形昭弘先生から3ないとは、実は「判らない、治らない、でもあきらめない」であると聞かされました。確かに九大、鹿大、そして現在梶先生が主任教授をされている徳大でも神経内科は学生に人気が高く、私はこの18年間大変な思い違いをしていたことにやっと気づいたのでした。

 井形先生は当日「神経難病の系譜と今後の展望」と題して先生がかつて関わられた難病に対する取り組みを講演されました。その内容は、SMON(スモン)の原因がキノホルムであることを解明しこのことが難病に対する特定疾患制度という我が国独自の制度を作るきっかけとなったことやHAM(HTLV-Ⅰ関連脊髄症)という世界初の病気を発見し白血病ウイルスが神経疾患を引き起こすことを明らかにされたことなどでした。そして公演中「でもあきらめない」の精神があちこちにうかがい知れ、我々医師も含め180人余りの参加者すべてが大いに元気づけられたのでした。

 井形先生のご両親はともに阿波町のご出身であり、当院理事長の伊月先生とはすぐお近くの方です。阿波町出身者の特性なのか理事長も「でもあきらめない」点では井形先生に負けておられないと思います。病院は医療費削減と個人負担の増加というこれからますます厳しい時代にさしかかってゆきますが、「でもあきらめない」というファイトと情熱をもって立ち向かってゆきたいものです。

(院内広報誌「なんきんまめ No.51(2004.3.1)」に掲載)
バックナンバーはこちら

 

 


ページの上部へ