「なんでだろ～なんでだろ」

院長　西田 善彦

 　「なんでだろ～なんでだろ」，今このメロディーが流れ出すと全国の子供たちが変な振り付けで踊り出します．これは，お笑い芸人「テツ and トモ」が歌っている曲です．元々は彼らが数年前からいろいろと歌詞を変えながら舞台で歌っていたものらしいのですが，「こち亀」というギャグマンガの主題歌となった途端，大ブレイクしたのです．「こち亀」については，私の学生時代から続いているお化けのような作品なので後日紹介したいと思いますが、今日は１度聞いたら頭を離れないこの何とも味のある歌についてお話ししたいと思います．

　そもそも「海の中に生えている昆布からだしが出ないのなんでだろ～」なんてほんとに傑作です．真面目に考えれば考えるほどマジでどうしてかと引き込まれてしまいそうです．しかしノーベル化学賞で有名になったかの田中耕一さんは小学生の時に転んだ際に「痛いのなんでだろう」考えられたそうですからさすがです．日常生活で起こることにこのように絶えず疑問を抱き，それを解決していくことは学問や科学の始まりです．今，伊月病院でも「なんでだろ～」はブームになろうとしています．実は患者さんの入院カルテには病状を記載する部分に医師の書く部分(通常のカルテ)と看護婦さんの書く部分(看護記録)があります．看護記録は，外来カルテには綴じられませんのでほとんどの患者さんの目にはふれられないと思います．しかし実際には看護婦さんの方が病棟では医師よりも長時間患者さんに接しているわけですからそこには重要なことがたくさん記載されています．その看護記録に最近「なんでだろ」が取り入れられたのです．従来の血圧や体温などの単なる記録から患者さんの訴えや症状に対してそれを問題として科学的に捕らえどのように対処したらよいか記載するように変わりました．今，伊月病院の看護婦さんたちはより良い看護を目指して一歩踏み出し頑張っています．

　私も負けずに考えました．「太った私がお風呂にはいっても油が出ないのなんでだろ～」

（院内広報誌「なんきんまめ No.46(2003.5.1)」に掲載）
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