キアゲハ通信No.013-「懐かしいコール」
2014.03.03 更新
「懐かしいコール」
院長 西田 善彦
懐かしい人から久し振りに電話をいただきました.その方の名前は,阿久津弘先生です.先生とは約20年前に私が松山赤十字病院に勤務している時に知り合いました.先生は大阪大学をご卒業され,当時国立療養所愛媛病院で呼吸器科部長をされていました(先生のお人柄は当時と全く変わっておられませんが,今は同病院長をされています).先生と私の趣味が共通の蝶収集であることから以来ずっと親しくさせていただいております.その先生とは,松山時代に沖縄へ2回,徳大時代に奄美とアルプスに各1回と合計4回,蝶採集旅行をお伴しました.しかしこの約10年はご一緒してなかったので,もういい加減に冬眠からさめて付き合いなさいというお誘いの電話でした.
先生との採集行は,昼間は勿論蝶取りで楽しく,夜は夜で(夜の蝶は決して取りませんが)お酒を酌み交わしながらあれこれご指導いただいて本当に楽しい思い出ばかりです.今も記憶に鮮明なのは,先生は卒業して20年以上たってもその日診た患者さんの病気について必ず教科書で復習していると言われたこと(私は全然できていない)や私が卒後4年近くたっても将来の内科の中での専門分野を決めてなかったことに対して早く決めてもっと勉強するよう親身になってご指導いただいたことなどです.それから(この時はお酒とは関係がないのですが)奄美の空港でおばあさんが大きな荷物を空港のカウンターに上げきれないでいる時にボーとして見ていた私を叱りつけ,「君,何をしている.早く手伝ってあげなさい」と言われました.その時の何のためらいもなくごく普通にでた先生のお言葉に“人類愛”のようなものを感じ,私の医師としての原点の1つとなりました.
恐らく6月か7月に是非ともまた我が家で1泊していただいて(前回は新婚3ヶ月でしたが),またありがたいお話をたくさん聞かせていただきたいと思っております.
(院内広報誌「なんきんまめ No.40(2002.5.1)」に掲載)
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