おしらせ
Announcement

キアゲハ通信No.127-「コロナワクチン」

2021.05.01 更新

t_kiageha1

 

「コロナワクチン」

院長 西田 善彦

 コロナ戦争,予想以上に厳しい戦いが続いています.今回は今話題のコロナワクチンについてお話しいたします.

 そもそも従来の予防接種のワクチンには,生ワクチンと不活化ワクチンがあります.生ワクチンというのは病原体であるウイルスや細菌などの病原性(病気を起こす力)を人為的に弱くして病気にかかりにくくした上で接種し,より自然に近い形で免疫力を得るというものです.このためより強い免疫力が得られますが,中には軽く発症してしまうことや副反応としてギランバレー症候群などを併発することもあります.このワクチンには麻疹(はしか)や風疹などがあります.これに対して不活化ワクチンは,インフルエンザワクチンなどでおなじみですが,病原性を無くしてしまったウイルスや細菌の1部を接種します.このため正式には感染が成立せず1度では抗体も作られにくいためインフルエンザワクチンを接種したのに感染したという話も聞かれ,感染を止めることはできないとも言われております.そしてこれら従来型のワクチンは,インフルエンザワクチンのようにワクチン株を孵化鶏卵に接種して2日間培養してウイルスを増殖させるなど製造に畜産や漁業の養殖のような手間と暇がかかります.

 一方,今回のコロナワクチンは遺伝子ワクチンとも言うべきものであり,工業製品のように短期間に大量に製造可能なものです.例えば現在日本でも接種が行われているファイザー社製のワクチンでは,コロナウイルスが人間の身体に入り込むために必要なスパイク蛋白のmRNA(メッセンジャーRNA,蛋白質の情報を細胞に伝えてその蛋白質を作らせようとする遺伝子)を用いて疑似感染を起こさせて免疫を獲得します.このため不活化ワクチンよりも免疫は獲得しやすいのですが,副作用も多いことが予想されます.

 いずれにしましても皆様方がなんとか早くワクチンを接種することができ,さらに特効薬が開発されることを願ってやみません.

バックナンバーはこちら


ページの上部へ