キアゲハ通信No.112-「6つのCを大切に」
2018.11.01 更新
「6つのCを大切に」
院長 西田 善彦
今年の医学界における誇らしい出来事は、本庶 佑先生のノーベル生理学賞受賞だと思います。先生もまた前回の山中伸弥先生と同じく京都大学で勤務されておりますが、山中先生は、「自分はまだ何もやり遂げていない」と語られたのに対して、本庶先生はノーベル賞受賞がむしろ遅すぎたのではと思いました。
すなわち、先生は、約40年前に免疫グロブリンのクラススイッチ組み替えの機構や活性化誘導シチジンデアミナーゼという酵素を発見されました。このクラススイッチと言うのは、細菌やウイルスを撃退するための免疫グロブリンとしては、最初にIgMというものが産生され、その後さらに病原体の排除により適したIgGやIgAという違うクラスが産生されてゆく機構であり、身近には各種ワクチン療法にも関わっているといわれております。このため誰もが日本人でノーベル賞の最右翼の1人とその当時は思いました。しかし基礎的な研究のためか受賞されずじまいであったところ、この度、PD-1(プログラム細胞死1)という癌などを攻撃するTリンパ球の表面にある蛋白質の発見により、見事ノーベル賞を受賞されました。このPD-1という蛋白質は、リンパ球の攻撃する手を止めるブレーキのような役目を担っており、ここに対して癌が偽の情報を送って攻撃されないようにカモフラージュしていることを見いだし、このPD-1に対する抗体を全く新しい概念の薬剤として製品化されたのです。
先生のモットーは、6つのCすなわち「好奇心(Curiosity)を大切に勇気(Courage)を持って困難な問題に挑戦(Challenge)し、必ずできるという確信(Confidence)をもち全精力を集中(Concentrate)させ、諦めずに継続(Continuation)することで、時代を変革するような研究を世界に発信することができる」とのことです。私たちもこの言葉を少しでも取り入れたいと思います。
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