キアゲハ通信No.122-「趣味のすすめ」
2020.07.14 更新
「趣味のすすめ」
院長 西田 善彦
憎きコロナウイルスのせいでまだまだ行動制限が続いておりますが,皆様いかがお過ごしでしょうか?自宅待機で思わぬ暇が出来て,それを利用して断捨離(家中をひっくり返して不要品をどんどん捨てる)に精を出している方も多いかとお聞きしています.私は趣味の1つである蝶の昔の標本を引っ張り出してきて懐かしく眺めたりもしています.
以前にここで書いたことがあるかもしれませんが,私は高校時代に趣味の蝶に関わるために医学部に行くか理学部に行くか悩んだことがあり,どくとるマンボウ昆虫記で有名な作家で医師の故・北杜夫先生に手紙を書いたことがあります.その時に蝶は趣味に留めておいても一生楽しめると指摘され,医学部に入学しました.そしてそれ以来約50年,その教えに従い現在まで蝶の趣味は続けておりますが,その間,非常に多くの方々とこの趣味を通じて知り合うことが出来ました.同業の医師では私と同じ神経内科で国立大学の教授になられた方や国立病院の院長など高名な先生もいれば,今年から研修医を始めた若い先生もいます.また医師以外では,この趣味をしていなければとても知り合うことはなかったであろう方(例えば後にアサヒビールの社長になられた方や製薬メーカーの理事長の方)とも趣味の話で盛り上がることが出来ました.もちろんごく一般的な職業の方(金物店や食堂経営の方,建設会社にお勤めの方)などとも親しくしていただき,そうした方々は世間知らずの私にとって単なる趣味の世界の先生というだけでなく,日常社会の世間一般常識もいろいろと教えていただくことができたと思います.
趣味という共通の世界では,いろいろな立場の方も皆横並びの平等な位置で相手に接することが出来ます.その時に素直な心でお付き合いすることが出来れば,一生で経験することの幅が何倍にも広がって人生をより楽しめるのではないでしょうか(その時のお酒は確実に体の幅を拡げてくれますが).
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