キアゲハ通信No.096-「訃報」
2016.04.09 更新
「訃報」
院長 西田 善彦
私にとって恩師の1人である齋藤史郎元学長がお亡くなりになりました.先生は東京大学医学部を昭和29年にご卒業され,徳島大学へは昭和47年に臨床検査医学の教授として着任され,以後,昭和56年よりは第一内科の教授となられ,附属病院長や医学部長を歴任され,平成8年に退官されて名誉教授となられた後も平成9年から15年まで徳島大学長を勤められました.
私は昭和54年に第一内科に入局しましたが,当時の三好教授は雲の上の存在で実質的に直接ご指導いただけたのは,齋藤先生が初めてでした.齋藤先生は,三好先生のご専門が血液と神経・筋であったのに対して,内分泌・代謝がご専門であり,私を含め医局員は少しでも先生のご専門に近い研究をしたかったと思うのですが,希望とは裏腹に私は神経内科を専門とすることとなりました.その代わり,臨床研修のために九州大学へ,研究のために米国・ハーバード大学へと2度も留学する機会を与えて下さいました.残念ながら研究に関しての成果は上げられませんでしたが,臨床に関しては,私は今では神経内科を天職と思うようになり,チャンスを与えていただき本当に感謝しております. またもう1つ,先生のご指導により学会などでうまく発表が出来るようになりました.私はすぐ上がってしまい原稿を見ながらでもうまくしゃべることが出来なかったのですが,講演や挨拶の達人のような先生からヒントをいただき,少しずつフリーハンドをこなしているうちに,今ではラジオ放送の収録でも余裕を持てるようになりました.
先生はダンディーかつスマートで,私は大学内外で数多くの教授に接してきましたが,教授として自慢が出来,また憧れることが出来たのは齋藤先生が1番でした.私も先生のようにせめて病院内の人に多くのチャンスを与えられるようになりたいと思っています.
この文を終えるにあたり齋藤先生のご冥福を謹んでお祈りいたします.合掌.
(院内広報誌「なんきんまめ No.123(2016.3.15)」に掲載)
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