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キアゲハ通信No.003-「多くの師(その1)」

2014.01.23 更新

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「多くの師(その1)」

院長 西田 善彦

  前回,私がどのようにして神経内科医になったかについてお話いたしましたが,その過程で本当に多くの師に恵まれました.教授あるいは後に教授になられた先生たちだけでも徳島大学では三好先生を始め3人,九州大学では神経内科の黒岩先生,神経生理の加藤先生を始め7人と合計10名を数えます.これらの先生方には,いろいろな立場でご指導いただき本当にお世話になりました.今回はその中から私が初めて医師になった時にお世話になりました三好和夫名誉教授についてお話いたします.

 私が徳大第一内科に入局したのは昭和54年で,三好先生はこの時,定年退官の1年前で医学部長も兼務され,「骨髄腫」と「筋ジストロフィー」という全く異なる分野で世界的に高名であり学生の間でも有名でした.そして講義はオーソドックスで,試験も簡単と学生にはとてもやさしかったように記憶しております.ところが,いざ入局してみると医局は別世界でありました.すなわち医局内ではとても厳しく(特に上の先生方や良くできる人に対して)ご指導されるため,教授回診や各種討論会は想像を絶するくらい厳粛なものでした.もっとも私のような新人は,先生の目には映らない存在であったはずでしたが,とにかく上の先生方が緊張されているので,私も訳の分からないまま一緒に固まっておりました.今から思えば,せめてあと3年入局が早ければ研究面でも直接ご指導願えたのにと残念でなりません.その先生のお言葉に「学問(研究)は臨床を照らす」というものがあります.先生のご研究はいずれも臨床に立脚されたものであり,神経内科の中でも研究の特に盛んな筋ジストロフィーの分野で2つも新しい病気を見つけられております.白神先生(鳴門病院院長),山野先生(海部病院名誉院長),川井先生(高松市民病院院長)たちの診療を拝見し,先生のこのお言葉の意味するところを少しでも分かるようにしたいと思っております.

(院内広報誌「なんきんまめ No.30(2000.8)」に掲載)
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