キアゲハ通信No.017-「2002年を振り返って」
2014.03.17 更新
「2002年を振り返って」
院長 西田 善彦
皆様,2002年は如何だったでしょうか?私はおかげさまで充実した1年を送らせていただきました.さてその1年を振り返りまして私にとって特に記憶に残っていることといえば次の2つです.
まず,何かと暗い話題の多いこの1年の中でおめでたくかつとっても心地よかったのは,田中耕一さんのノーベル化学賞受賞でなかったでしょうか?田中さんは受賞発表当時,島津製作所という1民間企業の平社員で博士号も持たれず,その上学生時代にはドイツ語の単位不足で1年間留年されたこともあるという経歴でした.誰もが「一体誰」と驚いたことに加えて,まさに晴天の霹靂ですという態度で終始一貫して飾らずさわやかな態度で振る舞われました.私はまだ生まれておりませんでしたが,恐らく戦後の焼け跡時代の湯川秀樹博士の日本人初のノーベル賞受賞もこのように日本中に自信と明るさを与えたのではないでしょうか.そしてさらに私にとってはパーキンソン病のパーキンソン医師や同じく橋本病の橋本医師のように一介の医師でも後世に名を残せることを思いだし,今後の診療の励みとなりました.
一方,日本中に悲喜こもごもの大きな衝撃を与えたのは北朝鮮による拉致問題ではないでしょうか?いろいろな思いや意見があるでしょうが,私が拉致された当事者たちの様子(拉致により親から突然切り離され,20数年ぶりに再会できたと思ったら今度は自分の子供と切り離された)を見ていて感じましたのは,どうやら「親が子を思う気持ち」の方が「子が親を思う気持ち」よりも強いようだということです.私は常々,看護婦さんやケアーさんたちに対して患者さんに接する時には自分の親や子だと思って接しなさいと言ってきました.民間病院では公立病院より職員(医師を除く)の年齢が概して若いと思いますが,その看護婦さんやケアーさんたちが一所懸命に看護と介護をしている姿を見てまだまだ捨てたものではないと感心している次第であります.
(院内広報誌「なんきんまめ No.44(2003.1.6)」に掲載)
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