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キアゲハ通信No.022-「オフ会に参加して」

2014.04.07 更新

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「オフ会に参加して」

院長 西田 善彦

 去る9月6日岡山で開かれましたパーキンソン病の患者さんのオフ会に参加してきました.オフ会というのは,普段コンピュータや携帯電話でメールのやりとりをしている人たちがコンピュータや電話の配線をオフにして実際にあって話をする会合のことをいいます.私が参加したのは,“ヒサオ”さんという若年性パーキンソン病の患者さんが管理されているホームページのメール仲間の会合でした.北は新潟から南は宮崎までとメール仲間総勢130名余りの内,付き添いの方を含めると実に40数名の方が参加されたのは驚きでした.

 会はヒサオさんの挨拶に始まり,乾杯した後,各自が自己紹介をかねて順番にスピ-チをしてゆきました.その中で愛媛の大西さんが,「病気の受容というのは,自分が病気であるということを容認することではなく,病気とともによりよく生きてゆくことです」といわれたことに少なからず衝撃を受けました.病気を容認することが出来れば肩肘張らなくなり,確かに患者さんは精神的に楽になれます.しかしパーキンソン病は難病なのだから仕方がないと患者さんに諦めてもらうことで自分も楽をしようと逃げていたのではないかと考え直さねばならないように思います.病気の受容のため病気の説明や治療を上手にすることは勿論ですが,病気のコントロールがうまくいかない際にいかに人生を楽しめるか一緒になって考えることがもっと必要だと帰りの汽車の中で改めて思いました.

 ヒサオさんは40歳半ばだけれど発病されてすでに約15年は経過しているとお聞きしています.病気を乗り越えられた彼はホームページによる啓蒙およびメーリングリストを通じての親睦などにより多くのパーキンソン病の患者さんとその家族の方々の精神的支柱になっているものと思います.握手したときの彼の手は,私より柔らかくて温かかったのが印象的でした.今度会えるときには私も彼のような手になっていたいものです.

(院内広報誌「なんきんまめ No.49(2003.11.1)」に掲載)
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