キアゲハ通信No.054-「黒子役」
2014.10.27 更新
「黒子役」
院長 西田 善彦
最近,テレビでは医師や病院をテーマにしたドラマが流行っているように思います.少し前になりますが,ドクターコトーというヒューマニズムあふれた離島の医者の物語がありました.それから救急医療を舞台にした感動的な話や優秀な外科医の奇跡的な手術の物語など放送されていました.そしてつい最近では,医学生の間でも敷居の高い法医学をテーマにしたドラマも始まっています.当然と言えば当然ですが,そこに出てくる人たちは俳優さんや女優さんが演じており,美男美女が揃っていてドラマチックで光の当たる話ばかりです.
しかし,現実はそうでしょうか?ドラマはともかくとして実際の医療の現場では,医師や看護師など医療スタッフが主人公になることは無いと私は思います.確かにカリスマ医師やスーパーナースは存在するのかもしれません.名医の誉れ高く1人で1日に何百人もの患者さんを診療したり,日本中から患者さんが集まってくるような医師もいるようです.そのような医師に診てもらえるだけでありがたいと感じて病気が治ると思われる患者さんもおられるかと思います.でも待って下さい.そもそもその人が患者にならなければ,その人にとって医師や看護師は必要がないのです.たまたま何かの病気にかかられたからこそ医療が必要となり,医療スタッフにお世話になっているだけなのです.従いまして実際の医療現場では,主役は患者さんであり,医師や看護師はあくまでそのお世話をしているだけなのです.医師や看護師はいわば患者さんの黒子(“ほくろ”ではありません,“くろこ“です.)であると私は思います.
よく社会的に身分の高い人を診療して自分も同じように偉くなったと勘違いをしたり,自分の能力に自信を持って自分を名医のように思う医師もいるかもしれませんが,自分は患者さんの黒子役であるということや患者さんから多くのことを学んでいるということをいつまでも忘れずにいたいものであります.
(院内広報誌「なんきんまめ No.81(2009.3.15)」に掲載)
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