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キアゲハ通信No.077-「ノーベル医学生理学賞」

2015.04.06 更新

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「ノーベル医学生理学賞」

院長 西田 善彦

 2012年の医学関係で最も明るい話題は、京都大・山中伸弥教授のノーベル賞受賞だったと思います。私は山中教授と直接の面識はありませんが、先生が研究所長をされている京都大学iPS細胞研究所は、私がボストン留学中に懇意にしていただいた戸口田淳也先生が副所長をされているほか、ALSなど神経難病への応用を研究されている井上治久先生が伊月病院までお越しいただいたこともあり、少なからずの縁を感じて感激もひとしおでした。

 さてノーベル賞と言えば、業績が確定して不動のものとなってから授与されるのが通例であり、今回のiPS細胞関係の受賞は極めて異例のようです。例えばサンガー法という蛋白のアミノ酸配列を決定する方法を考案し1958年にノーベル化学賞を受賞されたフレデリック・サンガー先生は、インスリンの1次構造を1953年に決定したことが受賞の決め手となったようです。このように実際に臨床応用され世の中の役に立って始めて授与されものと思っておりましたので、今回のiPS細胞への期待がいかに高いかうかがい知ることが出来ます。

 山中先生は神戸大学在学中にはラグビー部に所属され、卒業後は整形外科医として研修されたそうで、整形外科医としては20分で出来る手術に2時間もかかり「ジャマナカ」と呼ばれたと自嘲されています。また神戸大の先生からラグビー部→整形外科は粗雑な人の行くコースだと聞かされたことがあります。しかし先述の戸口田先生も大学こそ違えど同じコースの上、趣味まで同じマラソンなのですが,ボストンでは私が長女と砂遊びに夢中になったその横で「Nature」という医学雑誌を読みながら長男をあやされていました。きっとスポーツで培った体力と情熱を持って日々研究に当たられた成果だと思います。

 山中先生とそのグループには是非とも難病の治療法まで開発されて、サンガー先生のように2度目のノーベル賞を取っていただきたいと思います。

(院内広報誌「なんきんまめNo.104(2013.1.15)」に掲載)
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